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庭のあれこれ

落ち葉は肥料になる?

 お庭のお手入れをする際には、コボウキ、クサボウキと呼ばれる小さなホウキ等を使って、剪定ゴミだけでなく、植え込みの中の落ち葉まできれいに掃除します。
 植木屋の世界では、こうした掃除はお手入れの中でももっとも大切な仕事の一つとされているのです。
 ところが、お庭の隅々までお掃除をしていると、時折お客様に質問されます。
 「落ち葉は腐葉土堆肥になるから、そのままにした方が良いのでは?」

 確かに雑木林の落ち葉は、そのまま腐葉土になり、堆肥化します。
ただそれは山林のいろいろな生物が絡み合い、長い年月を経てのこと。
  お庭のような限定された生物環境の中では、落ち葉が溜まり、風通しが悪くなった場所からは病害虫が発生する要因となります。
 また草花を植えられている場合、地面に光が差さない場所では草花は新しく芽を出すことができません。
 そして、落ち葉は腐熟する過程で周りから多量の窒素を奪ってしまいます。逆に土がやせてしまうのです。

 山菜や山野草が豊富に育つ「里山」環境も、冬の間にある程度の落ち葉かきをしてやるからこそ、保たれています。誰も落ち葉を集めず、間伐をしない里山では、山菜も山野草はほとんど見ることができません。
 限定された環境の中で、豊富な植生を保つためには、人間の管理は欠かせないのです。

 肥料は、寒肥やお礼肥など、時期を見ながら、骨粉や油かすなどを適量施すのが良いでしょう。
  もし、お庭の落ち葉で腐葉土を作りたい場合は、お庭の片隅に落ち葉置き場を作り、上にビニールシートなどでカバーを掛けてやります。 
  時折かきまぜてやりながら、適度な水分と温度を保持してあげれば、一年もすれば、立派な腐葉土ができあがります。

 お庭は「管理された自然」です。
 すみずみまで手を入れ、心を配ることによって、原自然にはない高度な自然環境を維持することができます。
 「管理された高度な自然」、それがお庭なのです。

 

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庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字寺ノ下46−1