ヒグラシと仔猫
夜明けに目覚めるとヒグラシが鳴いている。 浄土の池に眠ったまま浮かんでヒグラシの多重奏を聴いた。 私を忘れ私の付属物を忘れた。 遠く哀しく美しい音。 浸ろうとしていると、仔猫が膝に何度もぶつかり稽古をしかけて眠れなくなった。 眠れねえよ!
3時より雷雨。 赤松の手入れをやめて山路を帰る。 峠を越えると空が焼けた。 雨で濡れた舗路がオレンジ色に輝いた。 浄土、浄土。 浄土が何かは知らない。 玄関を開けると仔猫が飛びかかってきた。
庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14