さやか
柿の実が朱い。 すすきが金と銀の風に踊っている。 これは階層だ。 あの日にもあの場所にも繋がっている。
畑の腐葉土を掻き出すと、カブトムシの幼虫がごろごろいた。 畝に運んだ中にもいたので元の堆肥山に放り投げた。 放物線を目で追い「しまった!」と思った。 あのイモムシは私だ。 深く眠っていたところをいきなり捕まれ空に放られ重力に叩き付けられる。
月がいいのでグランドで走った。 影が前を走る。 影に引かれて実体が走る。 ときおり白い犬がどたばた駆けてくる。 ぜんぶ清かな月の下。
庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14