美しい空間と時間 庭園管理植吉
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植木屋雑記帳

 

■ひぐらし

  ハナミズキの木から降りて、地面に足先が触れたとき、不意に、
  この星に降り立ったという気がした。
  見上げれば透かした枝葉に空が青い。
 
  ずっと以前、塾講師をしていた時、
  教室へ向かう二輪車の背中を夕陽が差した。
  太陽は、他の惑星や衛星と一緒にこの星を照らし、私の背中を差している。
  その影が木々や電柱と共に伸びている。

  もっと以前、ひ弱な子どものころ、台風が去った河原に出て、
  ごんごん流れる雲を見た。
  雲は木星の渦巻きのように極彩色で、混沌として、命のようだった。

  時が経っても思い出すのはこんな情景ばかりだ。
  日々を繋ぐ喜怒も哀楽も、いつのまにか忘れ去っている。

  今日も暑かった。
  傍らで妻が懸命にサツキを刈り込んでいた。
  仕事帰りの山道でヒグラシの初鳴きを聞いた。

 

 

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庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14