剪定ゴミ
仕事で出る剪定ゴミは崖下の畑に捨てて、堆肥にし、時折整理している。 太陽光と雨と虫と微生物にこなれて、枝葉は次第に腐り、湯気を出し、 発酵する。 こちらがこちらの日々を経由している間、マキもサクラもベニカナメも、 ツゲもコブシもモッコクも、ツツジもマツもヤマボウシも、みんな皆それ ぞれの速度で腐り、発酵し、分解されてゆく。 堆肥鍬やホークでその山を切り返してゆく。 骨になった枝はより分けて別の山にする。 これはこれでストーブの焚き付けの柴になる。 焚いた後の木灰も良い肥料になる。 堆肥は、ひと山崩すごとにミミズやアリやムカデやイモムシが転 げ出る。 菌糸の固まりが「むわっ」と湯気を出す。 ここにはここの階層があり、ここの時間が流れ、たくさんの連鎖があり、 生成や消滅がある。 世界の向こうにはいくらでも世界がある。 汗を流しながら作業していると、なぜか身毒が流れ、心配事もど うでもよいことのように思えてくる。
庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14