美しい空間と時間 庭園管理植吉
ライン
植木屋雑記帳

 

■ ざ、ざ、ざ、

今日は山の沢に竹を切り出しに行った。
沢の源流沿いに竹はのんのんと伸び、北風に揺れてこすれて乾いた音を立てていた。

斜面を下り、根本に鋸を入れると、ゆっくり竹は傾く。
大抵は周りに立った竹に枝葉が寄りかかって降りてこない。
切断した根本を抱えて渓を引く。
竹は、ざ、ざ、ざ、と音を立て、空を斜めに落ちて行く。
ふわりと青いものが地面にさわる。

それから魚を捌くように枝葉を払ってゆく。
竹はひと節毎に枝葉を対角線に付ける。
生え際に下からノコを入れ、上から払うと枝葉は簡単に落ちる。
そうして必要な太さの分だけ枝を払い、細い梢の部分は切り離す。

ざ、ざ、ざ、
ざ、ざ、ざ、と青いものが抜かれ、
ふわりと地に寝る。
他に音はない。

身毒が消え、いくらでも澄んでゆく気がする。

 

 


line
 →植木屋雑記帳一覧 →このページのトップへ →次の項目を読む

庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14