美しい空間と時間 庭園管理植吉
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植木屋雑記帳

 

■ 百年椛

樹齢百年というモミジの枝抜き手入れ。
新しい足袋、新しいノコで、百翁の幹肌にかじり付いた。
枝から枝へ身の重心を移動し、ノコを入れる。
どんなに細い枝先でも、根元からの力の流れを違えなければ、折れて墜落することはない。
木が天空へ伸びた力に自分の重心を沿わせ、身を預ける。
幹枝に添い、根元から太陽へ向けての放射を見取ると、その描線を乱した枝が見えてくる。
乱れた線の分かれ目から斜めにノコを入れ枝を離す。
枝元を下にして落とすと、途中の幹枝に掛からないで、するりと抜けてゆく。
百歳翁も枝先は若々しい。
緑色の枝が新しい空を掻いている。
大枝を揺すると、こぼれ残りの種たちが、プロペラのように回って一面祝祭のように落ちていった。


 


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庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14