美しい空間と時間 庭園管理植吉
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植木屋雑記帳

 

■  ルリビタキ 

庭で薪を割っていると、視界の隅で朱と瑠璃が混じるように交差した。
ジョウビタキとルリビタキが縄張りを争ったようだった。
瑠璃が敗れ、クルマの窓に当たって落ちた。
しばらく動かないので近寄って手に取ってみた。
あまりに軽いぬくもり。
気が付くと指にべっとり血が付いた。
右目の辺りをやられたらしい。
人と同じ血の色。
ルリはふとした隙に手を離れ、部屋の中を飛び回った。
家猫にやられないように、妻とふたりで椅子を持ち出して追いかけた。
見失って諦めかけた時、スキャナの上の鴨居に糞をして留まっていた。
もう一度そっと手に包む。
ここまで幾年か生き続けてきた小さなものの質感が、身体に波紋する。
この身体で小枝を渡り、地面を探し、さらに小さなものの命を捕ってきたのだろう。
空に放すと瑠璃色のものは、過たず山の方へ消えていった。
初めて見るような美しい曲線だった。


 

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庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14