あけびときつね
今年も秋の田が刈り取られてゆく。 このあたりはコンバインは少なく、「はさ」に稲束が架けられてゆく。 家族総出なのだろう。 見たこともない若者が働いている。 はさ架けの直線。 直線が山の田に点在している。 こんな抽象は、どんな時間がゆくのだろう。 アケビが実を太らせ、もうすぐ割れる。 何かが満ちて、かなしみがこぼれる。 月夜の帰り、ヘッドライトをキツネが横切った。 舗道を跳躍し、こちらを正対し、 また阿弥陀堂の奥へ消えた。
庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14