草引き
朝から雨模様で今日のお客は延期にした。 毎日天気予報ばかりみている。 雨の止み間に植木畑に出て、伸び放題になっていた草を引いてきた。 草は雨上がりに引くのがいい。 根が抜けやすいのもあるが、水気のなかで生きてきたことそのものが抜ける。 それは無造作な手触りだ。 地面が濡れるとなぜか蚯蚓(ミミズ)がよく顔を出す。 渓流釣りに凝った頃はこれでよく近くの川に出た。 水から魚を引き上げると、いのちが手のなかで跳ねた。 それも無造作な全体の手触りだ。 植木の根元に這いつくばって草を引き、今にも降り出しそうな空を見る。 ここは水底で、 私は魚だ。
庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14