美しい空間と時間 庭園管理植吉
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植木屋雑記帳

 

■  一年 

脚立を立て替えるため松の樹冠から下りると、日陰にまだ霜が残っている。
霜で縁取られた草は美しいな。
色んなものを眠らせて、色だけを際だたせている。

一年ぶりに手入れに入るから、同じもの、変わったもの、定点観測のようだ。

時の流れ。
風景の質が明らかに変わって見える。

風景の質。
降り積もった時間の層が何かを変えている。
去年の手入れの鋏跡を見ながら、今年伸びた松葉を摘んでゆく。
毎年、毎年、同じ事をしながら、同じ事をしている自分を見つめる。

お客さんにも一年の変容。
家族を失ったり、巣立ってあらたな命を得たり。

「子、川の辺にあって、曰く、逝くものは斯くの如きか、昼夜をおかず」

老・孔子の佇まいが、その息吹が聞こえてくる。
そしてまた、水に流されながらも、その岸に佇み、詠嘆する「場所」が、
人間にあることの不可思議を思う。

よいお年を。

 

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庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14