美しい空間と時間 庭園管理植吉
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植木屋雑記帳

 

■  鳥  

庭先で焚き火していたら、

上空高く鷹が一羽静止していた。
時おり羽ばたいて、気流を掴んでいる。
あんなに高いところに鳥がいる。

私は地表で火を燃やし、
燃えたものが炭になり、
ちろちろちろちろ熾になるのを見ていた。

焚き火をすると、空気が暖められて、
向こうの景色が揺らめいて見える。
それは何の喩だったか。

海の見える風呂で身体をほぐしていると、
目の前の大ガラスにくっきりと、鳥の衝突した跡があった。
水平線に、化石のように張り付いた鳥のかたち。

鳥は恐竜の末裔だそうだ。
鳥の目に孤独があるのは、
中生代からの記憶が詰まっているからだ。

アオサギは1mもある大鳥で、
谷間を翼竜のように飛んでいる。
ある日の夜、橋のたもとの外灯の下、
舞台役者のように見得を切っていた。
翌朝通ると、ゴミのように死んでいた。

冬になると鳥の姿が目に付く。

 

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庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14