美しい空間と時間 庭園管理植吉
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庭作り

雑木と小さな流れのある庭

 

■基本コンセプト

 いわき市のほぼ中央に位置する住宅街に新築されたお宅です。
 庭だけでなく、駐車場やアプローチを含めた外構を任せていただける事となりました。

 車が欠かせない現代の生活では、駐車場は、家周りの敷地のかなりの面積を占めることになります。
 昔の住宅において門が担っていた役割を、今では駐車場が担っているとも言えると思います。
 そのお宅の「顔」とも言うべき駐車場なのですが、残念ながら、デザインを考えて設計されているところは意外に少ないようです。
 今回は幸いな事に、お客様から「普通のコンクリート舗装では味気ないので、デザイン性のあるものにして欲しい」とのご希望をいただくことができました。
 アプローチも含めて、使いやすさと、建物を含めた全体のデザインが調和していることを特に意識しながら、設計施工させていただきました。

 庭全体のイメージとしては、お施主様ご夫妻とお話をしていたときに出てきた「トトロの森」をキーワードに、自然にあふれていながら、人が親しみやすく楽しめる雑木林をイメージしていきました。

 

庭の景
※写真の上でマウスを動かすと拡大写真が表示されます。

■道路から

   
雑木林の庭 施工後
 施工前 施工後 
 
翌春
  施工後(翌春)
 
雑木林の庭 施工後 雑木の築山
 施工前 施工後 
 
翌春
  施工後(翌春) 

 この住宅地では、〈住宅協定〉により、敷地境界に塀を設ける事には規制があったこともあり、周囲との垣根等を設けないデザインにしました。
 ただ、まるっきり開放してあると、不安感もあるので、道路側を築山にして少し高くすることで、開かれながらプライバシーを確保することを狙いました。

 

■駐車場

雑木の庭 駐車場 雑木の庭 駐車場
施工前 施工後
 
翌春
  施工後(翌春)
雑木の庭 駐車場 雑木の庭 駐車場
施工後 施工後
 車を4台停められる面積の駐車場です。
広いだけでなく、住宅と外をつなぐと同時に家の顔ともなるスペースです。
来客される方にウエルカムな雰囲気を感じていただける事、
そして住宅や庭とのデザインを調和させる事も心がけました。
コンクリートの色は、コンクリートが生乾きの時に粉末を撒いて均す「カラクリート」という製品を使っています。コンクリートと一体化するので、後から塗装するタイプと違い、剥落する事がありません。
石張り部分は、車が出入りする場所ですので、厚みのある自然石を使っています。

 

■門袖・アプローチ

   
雑木林の庭 アプローチ 雑木の庭
二階から見たアプローチ ゆるやかなカーブを描いて玄関へ
雑木の庭 雑木の庭
地元の色土を使った門袖 ロートアイアンによる手作り表札

 アプローチは、駐車場とラインを連続させることでデザインのつなぎをよくしました。
 門袖は、ポストと表札という実用的機能に加えて、両脇に石を立てた土壁風に仕上げる事で、空間を引き締めるオブジェ的役割ももたせました。
 土の色は、色粉を入れたのではなく、地元いわきで出た土の色をそのまま生かしたものです。
 また、表札は茨城県十王町のSTUIDIO ZWEI(スタジオ ツヴァイ)さんに、作っていただいたオリジナルデザインのロートアイアンです。

 

■築山・流れ

   
雑木の庭 雑木の庭
翌春 翌春
高木・中木・低木をランダムに植栽 一番高い尾根にはモミの木
雑木の庭 雑木の庭
土留めと修景を兼ねて石を据えました 築山には小さな流れを通しました
雑木の庭 雑木の庭
翌春 翌春
阿武隈の源流をイメージしました 築山へ上る小さな小道

 植栽は、いわゆる「雑木」を中心に選び、やわらかな雑木林を庭に作るつもりで植えていきました。
 モミ、コナラ、リョウブ、ヤマモミジ、ヤマボウシ、シャラ、アラカシ、ミツバツツジ、マデバシイ、コシアブラ、ガマズミ、カマツカ、サクラ、マユミなど、種類は様々です。
 また、自然の山の風景に見られるような下草類を植える事により、土留めを兼ねると共に、空間に一層の立体感を出しました。
 季節の移り変わりを、家にいながらそのまま感じられます。
 流れは、阿武隈の源流あたりの小さくやさしい流れのイメージで作りました。
 手前には、足を入れて楽しんだりできるように小さな池を作ってあります。
 水はポンプで循環させていますので、水道代はかかりません。

 

■飛び石板塀

飛び石 施工前  雑木の庭
施工前 施工後
飛び石 施工前 飛び石 施工後
施工前 施工後
飛び石 施工前 飛び石 施工後
施工前 施工後
  翌春
  施工後(翌春)
板塀 施工前 板塀 施工後
施工前 施工後
  翌春
  施工後(翌春)
 庭の中を散策するために、飛び石を据え付けました。
 歩きやすさと見た目の楽しさを同時に満たすような配置を心がけました。
  板塀は、〈住宅協定〉にある規定を守りながらのデザインで、このような仕上がりになりました。

 

■翌年5月

翌春 翌春
翌春 翌春
翌春 翌春

■翌年9月

翌秋 翌春

 

庭作りを終えて

 今回の庭作りは、基本的なご要望をお伺いした後は、デザインはすべてお任せという、非常に幸せな条件で取り組ませていただくことができました。
 施工する私たちにとって、信頼しておまかせいただけるという事に勝る幸せはありません。

 写真では載せていませんが、元々の敷地内の土壌は、岩盤の上に強い粘土質の土がのっているという、植物の生育にはまったくの悪条件でした。
 そのため、すべての土を搬出した上で、新しく水はけのよい土に入れ替え、暗渠排水を施工しました。
 見えない部分なので、おろそかにされがちなのですが、造成地での庭作りの場合、何をするにしてもまず土の入れ替えと、場合によっては暗渠排水の施工が必須となります。
 こうした基礎作業を行わずに庭を造ったとしても、せっかく植えた植物が健全に生育する事は望めません。
 今回は、お施主様が土の入れ替えの重要性をよく理解してくださっていたので、庭をデザインするに当たっても、施工にあたっても、非常にスムーズに仕事を進める事ができました。

 工期が大幅に伸びてしまい、お客様には長い間ご不便をおかけしてしまいましたが、施工過程を楽しみながらお待ちいただけたようなのが、幸いでした。
 施工中、お施主さんのお子様の他に、近所の子どもさん達が作りかけの庭に集まってきて、「この庭、楽しい!」とみんなで走り回るということがありました。どんな褒め言葉より嬉しい出来事でした。

 お子様たちと一緒に庭が育っていく過程をこれからもお手伝いさせていただければ、と思います。

 

※ 工事完了が11月中旬になってしまったため、写真でも落葉している木々も多くなってしまいました。また新葉が展開した頃に写真を撮って載せたいと思います。
  この工事の模様は、ブログ「小梅の雑記帳」2008年7月8月9月10月11月に記事があります。


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庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14