雨上がり
雨ばかりが続くと、雨が上がっていることが不思議に思えてくる。 縁側でぼんやりお茶をいただく。 剪定枝を受けるために敷いたシートに、ベッコウバチが一匹飛んできた。 ハチは時計の針のように、尻尾を軸にゆっくり四囲を一まわりした。 この精巧な機械の、誰がスイッチを入れ、消すのか。
ハチはすぐに去った。 蔵の前に山百合と桔梗が咲いている。 消滅するということ。 関係だけが残るということ。 そのこと以外、私たちにどんな基底があるというのだろう。
そんなことがジタジタと分かってきた。
見えないものが見えて来るとき、世界は当たり前のようにそこにある。 それは初めからそうであったし、(私たちの)、 終わりのときもそうであるのだろう。
雨が上がってヤマユリが香った。 座敷には入盆の仏の写真。
庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14